手作り甲冑奮闘記
【大鎧編・その1】
NHK『熱中時間』取材
2007年11月
20071126日(月)【取材】

サイクルモード2007が終り、いよいよ取材開始。
まずは買出し。
最初にダイソーへと向うが、時間があるために向う途中を撮影。甲冑着用以外でしかも密着取材は初めてなのでかなり緊張する。途中、松屋町春の陣でお世話になっている天明館さんや松屋町スタイル研究会のSさんにご挨拶をと立ち寄るが、あいにく天明館のNさんはお休みのため、不在。Sさんとはお会いすることが出来、少しお話をする。

Sさんにご挨拶の後はダイソーへ。
一番の目的は甲冑の札になる色紙。前回の胴丸も色紙を使用したが、今回も試してみることにする。
その他にも何かないかと探すがそれほど収穫はなかった。ただ一点今回の勢作とは無関係だが、惜しい物が一点ある。
それはお椀。
黒田官兵衛所用の兜をいつかは再現したいと考えているので、もう少し深さのあるお椀が欲しいところだ。もう一点は台所用のじょうろ。これは子供用の細川忠興または中国兜を作るには最適のものであった。
結局ダイソーで購入したのは「色紙」「洗濯ネット」の2点。無事購入し終え、次なるコーナンへと向う。

コーナンに向う前にまず資料購入のためにジュンク堂へ立ち寄った。笹間良彦氏著作の『日本甲冑大図鑑』を購入するためである。
同書は以前より欲しかったのだが何分高額のため、手が出せずにいた。しかし今回古式の大鎧を再現するためにはどうしても必要な書籍で、現実製作にあたって大きな戦力となっている。
ちなみに今回勢作にあたって最も貢献していただいているのは甲援隊士の鎧甲冑製作所・八幡太郎誠吾殿。貴重な資料をお貸しいただき、かつ教材用に製作した大鎧試作品をわざわざ送っていただいた。私の所有する大鎧は鎌倉後期の設定で今回製作したい大鎧とはかなりサイズも仕様も違う。八幡殿のお貸しいただいた試作品はかなりありがたい援軍と言える。

話が戻って買出し。次はコーナン。
コーナンではボンド、塗料、針金などを購入。撮影の演出をしながら荷物を持って店内を巡回することになる。しかし前回の経験があるだけにここでも買うものが決まっている。しかしいつもの癖で何かないかと模索してみるが、考えていた以上の物でこれはというものは特になかった。
とにもかくにも撮影しながら巡回し、コーナンでの買物を終了した。

買物終了後は帰宅し、車中にて今後の打ち合わせをする。
しかし打ち合わせをしている中で改めてスケジュールの厳しさを思い知るが、ここまで来た以上、やるしかないと心に決め、その日は終了した。

2007年11月27日(火)
いよいよ製作開始。
昼は合間を見てひたすら弦走の革の代用について知人に電話をしてみる。しかしいずれも難しく、どのようにするのか、が今回の最大の課題だ。
仕事が終り、取材班の方が到着。とりあえずは食事をして、部屋で資料を調べまくる。
やがてスタッフの方が戻ってきて作業開始。
まず始めるのは札作り。
見本は八幡殿の名刺を使う。八幡殿の名刺は実物大の平札をモチーフにしたもので、そのまま使用が出来る。ただ人の名刺に穴を空けるのは気が引けるが、このためにいただいたので使わせていただいた。
ここからは単純作業の繰り返し。
いつも手作りに際して言うことがある。それは手作りのコツは技術でもなければ知識でもない。根性があるかないかが重要なポイントである。
色紙から札を切り取り、ボール板で穴を空け、千枚通しで小穴を空け、そして塗装。この作業を延々と繰り返す。
前回は春から夏に製作したが、冬のためか乾きが遅い。乾燥を待つ時間だがひたすらに小札作りをし、撮影のために鉢の基本を作る。
この作業を夜中3時まで続け、この日の作業は終了した。
ちなみに一枚の色紙からは12枚の小札が取れることが判明。しかし平札って本当に大きい。


2007年11月28日(水)
本日の作業は札を板状に組み、カシュー塗料で塗装すること。ただカシューが乾くのに時間がかかるため、様々な作業を前後して行う。
さて今日の買出しだが、近所に手芸屋さんがあるので、紐類と据物金具用にボタンを購入する。紐は紺色にし、太紐と細紐、そしてベルト状の布を購入する。
仕事終了後、千日前に行くついでにユザワヤに寄る。閉店間際で慌しかったが、環にあたる金リングを発見し、購入。実はコーナンで輪は買っているのだが、良い材料を見つければ変更するのが一海流儀。恐らくこちらを使うことになりそうだ。

帰宅後は札を組み、塗装を開始する。臭いが凄いが、カシューを塗ると強度が断然違うので、やむをえない。
乾燥している間は以前奈良のダイソーで購入した「バナナタワー」というバナナ型のバランス積み木ゲームを使い、コハゼを製作する。今回のカラーは金色とした。仕上がりはまずは問題ないと思う。
こうしてこの日はただひたすら塗装するだけの作業で終了した。







2007年11月29日(木)
本日は注文していた菱縫(ひしぬい)用の皮紐を購入。実物を見て「使えるのか?」と不安になるが、実験してみたところ問題がないことが判明し、安堵する。
夜になっていつもの作業(切り出し/穴あけ/塗装/カシュー塗装)を延々と繰り返す。今日は12時ごろで終えてやろうと考えていたのだが、つい調子に乗って2時半まですることに。
開始から頭を悩ませている弦走だが、弟の早雲庵如水にイラストレーターを触ってもらい、解決の方向に向っている。今回の生命線なので、何とか良い革調のものに仕上がってほしいものだ。
今日の仕上がりは前2段、後3段、そして胴回1段が途中までである。


20071130日(金)【松屋町会合】

紐と弦走革だが、何とかなりそうな雰囲気になってきた。ただ双方とも特殊なため、価格が高い。恐らく予算はもつだろうが、やや不安を感じる。いざとなれば自腹を切る覚悟がいりそうだ。
さて本日は松屋町会合の日。会合前に塗装し、出かける。
会合終了後は三段目を塗装し、そして栴檀の板の札を編む。作業は順調なのだが、期日まであまり時間がないので、とにかく早く製作しなければいけない。時間とお金の勝負だが、頑張って製作しなければいけない。

塗装だが
@下地スプレー塗装。
A
ボンドで固める。
Bカシュー塗装。
C札頭の隙間を空ける。
Dカシュー塗装。
Eスプレー塗装。
の順番でやっているが、ひょっとするとDの工程はいらないのかもしれない。明日試してみることにする。
コハゼだが、ようやく完成した。

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